ななころび記

趣味、生活、出産子育ての日記

不妊治療について

覚書までに。

結婚して避妊をやめてから1年経った頃に最初に婦人科を訪ねて、排卵タイミングを見てもらったり血液検査をしました。

ポリープが見つかって手術で取ったりしたけれど、その後また1年経っても妊娠はしなかったので、他にもっと決定的な原因があるのかなあとぼんやり思ってたのです。

結婚して3年、引越しをしたタイミングで、男性不妊の検査や高度不妊治療のできるクリニックに移りました。そこにようやく夫と一緒に行って、男性不妊が見つかりました。

夫は一度も通院を渋ることはなく協力的だったけど、さすがに突然の不妊治療(私はもう2年通院していたので『不妊』を実感していたけれど『不妊治療』という言葉は使わなかったので、夫は突然に感じたと思う)と、原因が自分にあるということをすんなり受け入れることはできなかったみたい。

「今仕事のストレスがすごいから」「今朝は出した時の感覚がいまいち勢いがなかった」と、検査の数値が通常の自分とは違うのだと、自分自身に言い聞かせようとしていました。

ずっと原因を探して通院していた私からすると、正直がっくり来たというか。何が原因でこういう数値が出たかは、検査からはわからない。先天的なものか、環境や健康状態に左右されたものなのか。でもようやく次のステップに進まなくてはいけないことがわかったのだから、せめて検査結果そのままを受け止めて欲しいな、と。私はずっと自分に原因があるのではと思っていて、それがそうではなかったということが分かっただけで、別に夫を責める気持ちなんて全然ない。

兎にも角にも、男性不妊の場合、原因を突き止めるのは難しく、漢方などで治療をしても結果が出るのが(もしくは出ないと分かるのが)3ヶ月以上先。

ということで体外受精のステップに進むことにしました。

 

その頃は先行きの見えなさと、治療と仕事を両立することのストレスと、金銭的な不安とで、よく泣いていたなあ。何より、子供を持つことができないのかもと思うと、びっくりするほど涙が出ました。私にとって、それはそんなに悲しいことなの?と、客観視して内心びっくりしてました。

体外受精の治療に移行する前に、私の通っていたクリニックでは必ず院長先生の説明会を受けなくてはいけなかったのだけど、これは素晴らしく有意義でした。早口だけど聞き取りやすい先生の説明によって、治療の方法、なぜその方法をとるのか、金額などについて、通り一辺倒ではなく確率などのデータをふんだんに使って理解できました。

不謹慎な話ですが、その説明を聞きながら思ったのは、「あ、ポーカーみたい…」と。

かすっただけの趣味ですが、一時期ポーカーをやっていました。あれは当然運だけのゲームではなくて、確率を計算しながら伸るか反るかの判断を正確にやることによって勝敗が決まるブレインスポーツです。勝率を上げるためにたくさんベットして賭けることはできるけど、賭けすぎると負けた時に失うチップが多い。

体外受精も、一通りのコース以外に、例えば顕微授精(精子卵子にふりかけるのではなく、一匹選んで中に入れちゃう)や、SEET法(受精卵の培養液を移植三日前にあらかじめ子宮内に入れておく)など、たくさんベットすることで確率を上げることはできるんだけど、その分どんどん費用が膨らんでいくわけで…。

でもやると決めたからには、いろんなデータを集めて判断基準をちゃんと持って、一番確率を高めるやり方で頑張ろうと決めました。

 

最終的には二度目の移植で授かることができました。これは多分、とてもスムーズにいった方だと思います。でも二度目で出来た、と言葉にしてしまうのと、実際の治療中の感情のままならなさはすごい距離の開きがあります。

最初の移植の予定が薬の効きのせいで流れてしまった時、一度目の移植で陰性だった時、オープンにして話していた職場で上司のなんの悪気のない一言に傷ついた時、助成金が下りないという話を友人にしたら「金持ちだからよかったね」と言われた時(単に共働きなだけなのに…)。たくさん泣いて、夫に話を聞いてもらいました。

例の説明会によって治療について具体的に、現実的に考えることができるようになったようで、夫もかなり前向きになっており、泣きついた時にもとても頼りになる言葉をくれて受け止めてくれました。本当に、あの説明会は助かった…。

初めて検査薬で二重線を見たときは信じられないような、頭にすうっと風が吹くような感じがしましたよ。おお…私も家庭を、子どものいる家庭を持つことができるのか、と。12週過ぎるまでは気が気でなかったですが、今は腹で騒ぐ我が子を楽しく見守っています。

 

なかなか子どもを授からなかったこと、不妊治療を経たことで、なぜ子どもを持ちたいと思うのかを改めて考えることが多くなりました。

今まであまり直視してこなかった自分の子どもの頃のことをよく思い出すようになったし、親から受け継いだものが子どもにどう影響するのか、真剣に考えるようになりました。

出産までにまたちょっと、考えを整理する時間を作りたいなと思います。