ななころび記

趣味、生活、出産子育ての日記

家族について

友人たちと二泊三日で旅行に行ってきました。

春の長崎の晴れ空の下、美味いものを食べ、美しい景色を見て、自由を謳歌してきました。もう7ヶ月(27週)なので身軽には動けなかったものの、気を使ってもらいながら旅行を満喫しました。

食事中、家族の話になったとき、みんなそれぞれにままならない事情を抱えているのが分かりました。特に母親との距離感というのは難しい。同性だからこその問題というのがあるのかも。

私は既に一人暮らしを経た上での、現在夫との二人暮らし。実親や兄弟と住んでいたのは遠い昔のことのよう。だけどいまだに自分の負の面の多くを占めていることにふとしたきっかけで気づきます。それゆえ、その旅行での会話中にも自分の家族のことを過ぎたこととしてさらりと話すことができなくて、帰ってきた今もしこりのように反芻してしまっています。

 

母親は真面目で人付き合いが下手で、優しいけど怒ると噴火したように手がつけられなくなる人だった。若くして結婚して21歳で兄を出産。26歳で私を産んだ。

ちゃんとしなくてはいけないという気持ちが強すぎて、しつけの一環でよく怒鳴って、手を上げて、裸でベランダに出したりもしていた。

嫌だった体験を思い出すと、ピアノの練習中に横で見ていて間違えると怒られて手を叩かれる、朝食中に算数の問題を出されて解かされる、部活の先輩が厳しいと母に愚痴ったことで母がその先輩宅に電話をかけて改めさせようとする、などなど。

まあ、ちょっと困るけど、やばいほど逸脱しているというわけでもない、ギリギリ普通の範囲内の母。

彼女自身が辛い幼少時を過ごして、実の父もよく知らず、母親にもかまわれずに、転校を重ねていじめられて、出来の良い妹と比べられ、逃げるように飛び込んだ結婚だったと思うので、その中で頑張って育ててくれたんだよなと今では同情するような気持ちもあります。

 

父親は一見穏やかで優しく見えるけど、実際はかなり他人の気持ちに疎く、表面的な付き合いしかできない人。それを自分の心のクセのせいだと多分気づいておらず、相手のせいだったり、相手との相性のせいだと思っている。

母親もこんな無関心な人とでなければもう少しヒステリックを抑えて、穏やかになれたかもしれないけど、如何せん他人を見る目が養われるような環境ではなかった。

ちなみに父も早くに両親が離婚し、実の母と父の間を行き来させられ、両親ともに思いやりの欠ける人だったようなので、さもありなんという気はします。

 

そんなこんなで、過干渉な母親と無関心な父親の元、大人同士の思いやりのある会話のない環境で育った私と兄は、一応は身を寄せ合って仲良くしてきた。

けれど思春期の様々な問題の中でついに歪みが表面化して、兄は私をいじめの対象にしてしまい、信頼は裏切られてしまったわけです。

 

その問題が発生してから、私が17歳の頃母が別居し、兄が職場の近くで一人暮らしをするまでの4年間、辛いことだらけだった。でもすっかり精神が視野狭窄になていて、そういったことたちが自分にどういう影響を与えているのか、何が原因でこの問題に至ったのか、全然分析することができなかった。とにかく家族がバラバラになってようやく、安心することができました。

 

しかし自由になっても、問題が消えたわけじゃない。友人にすら心を開くことができず、誰のことも信頼していなくて、本当の思いやりなんて持ちようもなく、心からの感謝や愛情の意味もさっぱりわからず。

とにかく他人と同じように普通になりたい一心から、見よう見まねの生き方をしていたような気がします。たいていの男性とはお付き合いしても何ヶ月かでダメになってしまっていました。心から楽しいと思える瞬間がないから、結局消耗して、もういいやと諦めてしまう。好きになるってなんだろう、と。

 

自分の転機とは……と振り返ると、仕事かな、と思います。

偶然運よくつくことができたデザインの仕事で、右も左もわからず、上司からも持て余されて、最初は辛かった。けれど少しずつ成長し、努力して、なんとか一人前と言えるレベルになった。収入よりも信頼と、それに伴う自己肯定感が、どれだけ自分を人間にしてくれただろう。自分を認めてもらうことで、ようやく自分の欠点を含めて他人にさらけ出すことができるようになったんだと思います。そして、他人のことも、そのままに受け入れることができるようになったのだと。

 

夫とは仕事を始めて6年目くらいに出会いました。初めは、私のことをよく知らずにやけに懐いてくるこの若い(3つ年下)男性を、どうしたものかと持て余していました。優しいけど若さのせいか尊大なところが鼻につくし、こちらをあまり気遣わない自己アピールの強さも苦手でした。

でもだんだんに、それは私のコンプレックスの裏返しなような気もしてきました。

私が信頼しなさすぎる。私が自分を見せなさすぎる。そういうことに気づかせてくれた気がします。ある時、家族の問題に加え、兄との摩擦について初めて話してボロボロに泣いた後、ゆっくりとではありますが関係を確固たるものにすることができていきました。

今までの人間関係の中では築いてこれなかった、信頼とか、安心とか、思いやりとか、ようやく得ることができたのかなと思います。

 

今の私の人生の目標は、自分の子どもが自分や友人を大切にできるような自己肯定感の強い子に育ててあげることです。もちろん困難だらけの子育ての中で叱りつけたり、穏やかでいられない時もあるでしょうが、愛しているということを伝え、両親が協力したりちゃんと互いの意見を尊重する姿を見せ、基本的な信頼感を育んであげたいと考えています。